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1971/12/4 第19回定演にて

いざたて戦人よ

【作詞】藤井 泰一郎

【作曲】マクグラナハン

いざたて戦人よ
御旗につづけ
雄々しく進みて
遅るな徒(あだ)に
(歌いて進めよ)
うたごえ合わせて
うしおのごとくに
正義の御神は
われらの守り
われらの守り
われらの守り
正義の御神は
われらの守り

忘るな功(いさおし)
我らの父祖(ふそ)の
つづけよはらから
守れこの地を
(歌いて進めよ)
うたごえ合わせて
うしおのごとくに
正義の御神は
われらの守り
われらの守り
われらの守り
正義の御神は
われらの守り

  昭和49年、私が3年の時の演奏旅行は宮古方面でした。3泊4日の日程で、主に午前は小学校、午後は中学校にお邪魔して演奏する形だったと思います。
 最終日の自主公演は宮古小学校の体育館で行いました。終演の頃には外はもう真っ暗になっていましたが、演奏終了後校庭に集まり、みんなで輪になって愛唱曲を歌いました。
 その中で、この「いざ起て戦人よ」をみんなで肩を組んで足を交互に振りながら夜空にこだますように歌ったことを今でもはっきり覚えています。
 その時、周りで見てくれていた人達の中に、将来の岩大合唱団を背負って立つことになる女子中学生が、なんと3人もいたことを誰が想像し得たでしょう!

合唱通信  No.12   

     “いざ起て戦人よ”について              2013/03. 

 新しく練習に取り組んでいる合唱曲『いざ起て戦人よ』について、戦争を礼賛するといった軍国主義を謳った歌と誤解され易いので、大急ぎでこの曲の成り立ちについてご説明させていただきます。

原曲は"Song of the Soldier"というアメリカのプロテスタントの賛美歌で、作曲したのはジェームス・マクグラナハンJames McGranahan(1840-1907)だそうです。

どうやら、一般に作曲家グラナハムとなっているのは誤りのようで、正しくはマクグラナハンと記さなければならないようです。作曲年代は、1882年。作詞は福音伝道師だったウイットルという人のようで、賛美歌"Auf, ihr Christen, Christi"の英訳をもとに作詞したと言われています。

 その歌詞は次のようなものだそうです。

 

  起て キリストを信ずる救いの子達よ

  目を覚ませ 勇壮なる民よ

  シオンの地の敵前に立ち塞がれ 聖歌を力強く響かせよ

  大海の雷鳴の如く 我らの業を贖罪せしキリストの血を以て我らは勝利者となる

 

ネット上の情報によると、キリスト教徒は堅信式を受けてキリスト教徒になりますが、司教に額に聖香油を塗られたあと、軽く頬を打たれて「キリストの兵士」になったことを宣言されるのだそうで、すなわち原曲のタイトル"Song of the Soldier"の"soldier”とはキリスト信者を指しているということです。

 日本語の作詞をした藤井泰一郎という人は文学と聖書のつながりやキリスト教が人類に与えた影響を研究した人で、ご自身も学生時代は西南学院の中学部、高等部に在籍し、グリークラブに入っていたそうです。

1940年前後の当時は第二次世界大戦の最中で、日本と欧米は敵対関係にありました。日本では1940年には英語禁止、1943年には米英音楽の演奏禁止政策が施行されたことで、The Song of the Soldierをはじめグリークラブで愛唱されていた米英の曲が歌えなくなってしまいます。

そんな中で、藤井泰一郎が今後もグリークラブでThe Song of the Soldierを歌い続けたいという思いを込めて、内容は同じままにアメリカの讃美歌と気付かれないように慎重に言葉を選んで訳詩をほどこしたのではないかと言われています。

そのようなわけで、この曲は戦争礼賛の曲ではありませんので、安心して声高らかに歌っていただきたいと思います。

 しかし、戦時中は学徒出陣の際などに「キリストの兵士」という本来の意味を知らずに、あるいは無視をしてこの曲を歌い、戦地に出征する学生を送り出すという光景も見られたということです。本来の意味を知っている学生にとっては残念で悲しかったことでしょう。

察するにあまりあるものがあります。

 閑話休題(それはさておき)、今日の練習時にご質問のあった“遅るなあだに”の意味についてちょっと調べてみました。

 “あだに”は漢字で表記すると“仇に”ではなく“徒に”です。漢字で書けばその意味がご理解いただけると思いますが、『軽々しく』『いい加減に』『むだに』『おろそかに』遅れるのではないぞ、という叱咤激励の言葉だと思われます。つまり、『神は我々を守って下さっているのだから、勇壮に戦おう。ゆめゆめ遅れをとるな』というほどの意味なのでしょう。

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